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レモングラスを使ったアジア料理について

レモングラス,イメージ

レモングラス(Lemongrass)は、柑橘を思わせる爽やかな香りと、ほのかにスパイシーな風味が特徴のハーブで、タイやベトナム、インドネシアなど東南アジアの料理文化を語る上で欠かせない存在です。

ただ香りをつけるだけではなく、肉や魚の臭み消し、旨味の引き立て、料理の奥行きを作る重要な役割も担っています。

レモングラスの基礎から国別の代表料理、伝統とアレンジの違い、正しい調理方法・保存方法まで、正確な情報に基づいて解説します。

目次

レモングラスの基礎

香り・味の特徴

  • 主成分はシトラール(Citral)。レモンの果皮に近い香り。
  • 強い酸味はなく、香りで料理に爽快感を与えるタイプのハーブ
  • 抗菌作用や食欲増進効果もあるとされ、食材の臭み消しにも活躍。

食用とする部位

部位特徴・用途
根元~白い茎部分香りが最も強く柔らかい。刻む・叩く・すり潰してペーストに使用。
葉・上部繊維が硬くそのまま食べない。スープや煮込みの香りづけ用に。

国別:レモングラスの代表的な使われ方

タイ料理(最も活用される国のひとつ)

料理特徴
トムヤムクンレモングラス、ガランガル、マクルットライムリーフが香りの柱。酸味(ライム)・辛味(唐辛子)・旨味(ナンプラー)が重なる。
トムカーガイココナッツミルク+レモングラス+鶏肉のスープ。強火で沸騰させすぎないのがコツ。
タイカレーグリーン・レッドカレーのペーストにレモングラスは必須素材。ガランガル、パクチー根などと共に石臼で潰す。
ガイヤーンレモングラス・ナンプラー・にんにく・砂糖で鶏肉を漬け込んで焼くタイ式焼き鳥。

※「コブミカン葉」という表記も一般的ですが、近年は差別的語感を避ける意味でマクルットライムリーフ(Makrut lime leaves)と記されます。

ベトナム料理

料理正確な位置づけ
Gà xào sả ớt(鶏肉のレモングラス炒め)レモングラス+唐辛子+ニョクマム(魚醤)の甘辛炒め。家庭の定番。
Bò xào sả ớt(牛肉のレモングラス炒め)牛肉版。砂糖と魚醤の調和が特徴。
フォーの出汁北部・伝統的な牛フォーでは使用しないのが基本。「玉ねぎ・生姜・スターアニス等」が主流。南部・家庭でのアレンジとして加える例あり
レモングラスティー(Trà sả)ハーブティーとして飲まれ、リラックス・体を温める効能があるとされる。

※「揚げ春巻きの油にレモングラスで香り付け」は一部に存在するものの、伝統的な方法ではなく応用例

インドネシア・マレーシア料理

料理レモングラスの扱い
ルンダン(Rendang)牛肉をココナッツミルク+レモングラス+スパイスで長時間煮込む。世界的に高評価の料理。
サテ(Satay)肉を漬け込むペーストやサンバル(チリペースト)にレモングラスを使うレシピが多い。ただしピーナッツソース自体には必須ではない。
ナシレマ(Nasi Lemak)ココナッツライスの香味はパンダンリーフと生姜が基本。レモングラスは家庭や地域によって“任意で加える”
アヤムゴレン(揚げ鶏)レモングラス・ターメリック・にんにくで漬け込むレシピが多く、香りと色づけに活用。

レモングラスの調理テクニック

香りを最大限に引き出す方法

方法解説
叩く包丁の背や肉たたきで軽く潰すことで、繊維が割れて香りが出やすくなる。
薄切り/みじん切り炒めもの・ペーストに使う際の基本。
煮出して取り除くスープや煮込みではそのまま煮て香りだけを移し、食べる直前に取り出す。

家でも使える定番レシピ例

レモングラス入り万能マリネ液

レモングラス(白部分) … 1本(みじん切り)
ナンプラー … 大さじ2
にんにく・生姜 … 各1片(すりおろし)
砂糖またはパームシュガー … 小さじ1
唐辛子 … お好みで

鶏肉・豚肉・魚などを30分~一晩漬けるだけでアジア風味に。

正しいトムヤムクンの香りの出し方(重要ポイント付き)

  1. 水または出汁にレモングラス、ガランガル、マクルットライムリーフを入れ、沸騰直前〜弱火で煮出す(5〜10分)
  2. エビやきのこを加えて火を通す。
  3. 火を弱めてからナンプラー、ナムプリックパオ(チリペースト)で味を調える。
  4. 火を止めてからライム果汁を加える(酸味・香りの飛びを防ぐため)。

保存方法

方法保存期間備考
冷蔵7〜14日ペーパータオルで包み軽く湿らせ、袋に緩く入れる。
冷凍2〜3か月刻んで小分け or 5cm程度に切りそのまま冷凍。
乾燥数か月香りは弱まるため煮出し用に適する。

まとめ

  • レモングラスは「味を作るハーブ」ではなく、「香りで料理の層を作り出す食材」。
  • タイでは酸味・辛味・香りの中心として、ベトナムでは炒め料理やハーブティーに、インドネシアではココナッツミルクやスパイスと融合して使われる。
  • フォー出汁・ナシレマ・春巻きなど、伝統と応用で使われ方が異なる料理は、区別して語ると正確性が高くなる。
  • 保存・下処理を正しく行えば家庭でもプロと同じ香りを再現できる。

以上、レモングラスを使ったアジア料理についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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